魚野川水系 登川 米子沢

魚野川水系 登川 米子沢
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上越屈指の美渓 米子沢

越後三山と谷川連峰の間に、穏やかで優美な姿で鎮座する巻機山を水源とし、爽快な滝群、軽快に突破できる程よいゴルジュ、代名詞といえる大ナメなど、日本の渓谷美をふんだんに詰め込んだ明るくスケールの大きい沢である。

やがてその水は魚野川へと流れ込み、日本有数の米どころを形作る。

実は昨年から何度か計画が練られていたのだが、すべて悪天候に阻まれ、計画は頓挫していた。

8月2日、ようやく念願かなって当ブログの現管理人4人で遡行した。

登川 米子沢 遡行記録

もともとは私とS氏で中央アルプス・幸ノ川を遡行する予定であったが、全員の予定が合ったため、どうせなら米子沢に行こう、ということになり、山行2日前に計画が決定。天気図を見ると梅雨前線が消えており、これはいけるだろう、と確信し、決行した。

前日に全員を私の車でピックアップ。関東甲信地方が梅雨明けしたとのニュースが入り、テンションが上がる。途中ピザが勝手に出てくる食べ放題の店で夕食をとり、訳あってだいぶ長時間のドライブを経て、日付が変わる頃に桜坂駐車場に到着。仮眠をとる。

起床すると駐車場は満杯になっており、後から来た車は駐車スペースを探すのに四苦八苦していた。地元の組合の方に「水量が多い。通常の3倍だ。」と言われ、少々緊張する。6:30に駐車場を出発。駐車場管理棟の脇の林道を10分ほど歩くと、米子沢入口と書かれた標識がある。さすが人気の沢、親切である。

↓米子沢方面への標識がある

途中で見える堰堤で本来伏流している米子沢の流れが見えていると撤退のサインらしい、とぽ氏から聞く。今回は見えなかったのでそのまま進む。

入渓すると少々退屈なゴーロ歩きが続く。睡眠不足だったので、寝ぼけた身体の血を回して叩き起こすにはちょうどいい歩きであった。

↓ゴーロ歩き

前に来た時よりだいぶ水量が多い、とS氏。睡眠不足もあり撤退もチラついたが、せっかくなので行けるところまで行こうということになった。水際をわざとへつったりしながらダラダラと進み、最初の2段25m滝に到着。なかなか身体が起きないので慎重を期してロープを出して左岸から登る。S氏がリードし、続くItamae氏も登ったが、我々を抜かしていったパーティーがフリーで登って行ったのを見て、私とぽ氏はフリーで突破した。

↓右岸のスラブも面白そうだったが落ちたら滝壺ループなのでやめた

この滝をこえるとナメ沢との分岐に出る。山から太陽が顔を出して一気に明るくなった。渓相も一気に沢らしくなる。

ナメ沢の分岐からは明らかに突破が困難であろう大きな多段滝がある。ナメ沢との間に踏跡があるので、テープを辿って樹木の中を縫うように高巻く。

↓落ち口にて。ナメが美しい。

次に出てくる滝ではフローティングロープを出した。沢登りの際は6.5mm×15mのフローティングロープをいつも携行しているのだが、渡渉や、落ち口がいやらしかったり、少々危なそうな滝だったり、ちょっとしたところで遠慮なく出せるのがいい。

水量増加により迫力が増している10m幅広滝はロープを出して水流左から登った。右からも登れそうであった。

↓10m幅広滝をリードするS氏

ツルツルのスラブ帯となっているヒョングリの滝15mは水量が普段より多いこともあり少々恐怖を感じたが、ラインを見つけてなんとか突破。ヒョングリの滝を越えたところで一息つく。カワガラスが10m先に止まったが、撮影しようとした瞬間に逃げられた。

↓ヒョングリの滝を越えたところ

休憩を終えるとS氏がスラブ帯からウォータ―スライダーできそうな場所を探し出してウォータースライダーをしていた。私は面倒なのでやらなかった。

↓ウォータースライダーではしゃぐS氏

進んでいくゴルジュ帯の入口である。入口の滝の次に出てくるトイ状5mは水流左からシャワークライムで突破する。ボルダームーブが上手く使えて楽しかった。

ゴルジュ帯は高巻きせずに突破可能だ。日が昇って気温が高くなってきたので、積極的に水と戯れた。

日影沢出合にかかる5m滝は右壁が階段状になっており軽快に登れる。

↓日影沢出合5m滝を登るぽ氏

個人的にゴルジュの渓相は非常に好きだ。反り立つ岩壁に透き通る水。まさに「沢」という感じがする。

↓ゴルジュを順調に突破していく

ゴルジュ帯終盤のチムニー状7m滝は高度感のある草付の高巻きを強いられた。S氏はステミングでチムニーを突破したらしい。

↓高巻き終わり!

次はゴルジュ帯出口の20m滝だが、ここで滝を鑑賞しながら小休止とした。少々体を動かしたので、チョコレートの甘さが身に染みわたる。

ゴルジュ帯出口の20m滝は左岸側から登る。階段状になっており、見た目より登りやすい。落ち口が少し危なっかしかったので、スリングを出してもらった。

↓ゴルジュ帯出口の20m滝

次の2段15m滝はロープをフィックスして左側から登った。私はフリーで先に登ったが、少し怖かったのでロープを出してもらえばよかったと後悔した。全員登りきった後、ロープが岩にスタックして引き上げられない事態が発生した。S氏がクライムダウンして回収、原因は先端の結び目をほどいていないことだった。以後気を付けたい。

↓スタックには気を付けよう

この辺で雲がもくもくしてきたので先を急ぐ。開放的な渓相になり、進んでいくと米子沢の代名詞である大ナメに躍り出る。ここでItamae氏がヌメに足をとられて15mほど滑落するが、大きな怪我はなかった。ほっとした。気を引き締めて確実なラインを探って進む。

↓米子沢名物、大ナメ

大ナメで雲が出てきてしまったのは残念だった。日が出ていればもっと明るく優しげな表情を見せてくれたに違いない。

大ナメを越えても意外とまだ続いた。ここからは快適に登れる小滝が続く。

↓ナメで終わりじゃない!

小滝を快適に越えていくと沢の流れが狭まり、源頭部の雰囲気を醸し出す。一面の緑の絨毯に、透き通る水が流れる。穏やかな日も差してきて、天国のような雰囲気だ。Itamae氏曰く「死んだらここに来たい」だそう。

↓なるほど、これが天国か。

ツメは灌木の中にテープが付けられた道があり、藪漕ぎなしで稜線に抜けられる。空が開け、女性的な草原が広がる。最初は撤退しようか、なんて言ってたのに、結局ここまで来てしまった。まあいつもそんなもんである。

↓穏やかな気持ちになれます

もう急ぐ理由もないので、ダラダラと巻機山避難小屋の前で30分ほど休憩をとった。噂によるとトイレが綺麗らしい。トイレには寄らなかったが。

↓巻機山避難小屋

下山はしばらくは開放的な稜線を進む。ときおりニッコウキスゲが咲いている。ニッコウキスゲは朝咲いて夕方にはしぼんでしまう一日花であるらしい。儚い。

ニセ巻機山までは登りだが、その後一気に下る。

↓ニッコウキスゲ

樹林帯に入ると、ついこないだまでずっと雨が降っていたせいか、道がドロドロで滑って歩きにくい。滑って転ぶと全身泥まみれになるので慎重に下る。

桜坂駐車場まで標高差1000m以上の下りである。沢足袋で下山しているのでだいぶ堪えた。巻機山避難小屋から2時間半ほどかかって桜坂駐車場にたどり着いたころにはもうヘトヘトであった。沢登り、だいたい下山が核心である。

↓ドロドロですよこの道

帰りは六日町の温泉に立ち寄った。受付のおばさんが「温度が少し熱いので気を付けて」というのでどんなもんかと思ったが、いやいや、めちゃくちゃ熱かった。雪山の後だったら火傷しそうな熱さである。一瞬で体が温まったのでよかった。

帰りは途中夕食をラーメン屋でとって、全員を自宅まで送り、私が家に着いた時には深夜2時になろうというところだった。文字通り長く充実した一日だった。